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2PAC/ ME AGAINST THE WORLD
(Out da Gutta/Interscope Records 1995/92399-2)

 「この人GANGっぽくて、もっとワルい感じの人じゃなかったっけな?」
 「Me Against The World」を手にとって最初の印象はこうだった。
 今までに見たことのないスタイルの写真や裏ジャケの寂しげな背中に違和感を感じたものだ。しかし、このアルバムが、私の中で2Pacを唯一無二の絶対的存在に押し上げる、衝撃の1枚となる。

 当時、留学生のネイティブスピーカーにイヤな顔をされながらも意味を聞き出したインナーには、大切な人達への謝辞と共にこんな言葉があった。
 "No thank you to all the bustas, cowards and fake
 homies who showed me the depths of jealousy, envy an greed."
 銃撃事件、レイプ疑惑、あまりに高すぎる有名税と言えるトラブルの数々。これらの出来事が2Pacの内に大きな大きな傷跡を残していった。

 NYCでの銃撃事件をINTROに使っているぐらいである。あの事件は計り知れない程の内面的変革を2Pacに与えたんだろうし、その変革がこのアルバムの至る所に現れていると思う。
 裏切りや人間不信からくる痛み・恐怖・怒り・憤り。その混沌の中で必死に何かを掴み取ろうともがき、前を向いて戦いに挑む姿。全てをこのアルバムに収められた曲から感じ取ることができる。
 人々が心に刻んで溜めこんでいるであろう痛みや、誰もが必死に押さえつけ、隠そうとする弱さまでもを2Pacはリリックとしてさらけ出している。きれいごとではないし、強がりでもない。そうして自分の痛みと向かい合い、さらに前へ進もうと模索する姿まで見せてくれている。まさに「自分対世界」である。また、だからこそ人の痛みにまで思いを巡らせる事が2Pacには出来るのだろうし、心から信頼できる愛すべき人へ伝えたい、伝えなければいけない至極素直な言葉が"Dear Mama"なのだろう。
  逃げないのだ。2Pacは悲しい裏切りや現実、恐怖や痛み、怒りや不安からも、照れくさい愛からも逃げないのだ。それが2PacのイキザマでありSOULとなって映し出されている。そんなアルバムだと思っている。

 そんな姿を見出した時、心が無限に共鳴し、2Pacが己の内面をさらけ出してくれたことで、自分自身が包み隠してきた闇を目の前につきつけられたような衝撃を受けてしまった。彼自身が語られている超現実的リリックに有り余るエネルギーをぶちまけるようなRAP。それに珠玉のトラックが重なる。名作として語られることの多いこのアルバム。音楽としてだけではなく、これが、その時のTupac shakurそのものとまで思えてしまう。10年近く時が過ぎた今でも当時の衝撃と共に色あせないままだ。
(HotCandy a.k.a. Nolly 2001)


『The SOURCE』誌では本作が2パック作品の最高傑作として選ばれていた。あれだけ売れた「All Eyez On Me」を差し置いての選出はかなり意外だったものの、実はごもっともな選択である。94年NYで5発の銃弾を浴びながらも、奇跡の生還を遂げた2パックに突き付けられていたものは、撃たれた現場に居合わせた友人達が誰一人彼を助けようとせず、見て見ぬふりをしたという現実。凄まじい孤独感を背負った彼は、最後の救いをママにもとめ、"Dear Mama"という親子愛を謳った無敵の哀愁スロウと、「俺対世界」なるこの作品を作った。彼の悲しい叫びが一曲ごとに切なく響き、胸がしめつけられていく・・・。"Dear Mama"を制作したTony Pizarroはもっと評価されるべき。ソウルショック&カーリンによるアルバム・タイトル曲"Me Against The World"と"Old School"も溜め息が出ちゃう程の感涙曲。駄曲は一切無いし、ビルボード・ポップ・チャートにおいてもNo.1を獲得。皮肉にも、追い詰められる程に花開いていった2パックの素晴らしさが、余すところなく表現されている名作だ。 -- black music review
1998

MUSIC MAGAZINE cross review
1995 May. --
それにしてもビルボード初登場1位(ポップチャート!)とは。2パックに対するアメリカの関心と好奇の深さを証明する現象ではある。自分の銃撃報道に始まる凄味と、このタイトル。が、インパクトありまくりなのは、むしろ表現欲求に忠実たらんとする、極々真当なアーティスト・エゴとの格闘の痕跡である。なんて切実な。サウンドは前2作より更にメロウでスムーズ派手さを意図的に排し、その分情感の表出にこだわったようだ。落涙必至シングル(9)"Dear Mama"やとろける(11)"Can U Get Away"などのメロウなパートに心遊ばせる時、その着地点のリアルさに虚を衝かれる。時に穏やかな、時に息せき切ったラップと共に、とても印象的なリフレインが歌われてくる。ゲストに迎えたヴォーカリストが、それはもたらしたものでもあるだろうけれど、ともあれ大きな効果だと思う。一瞬シンガー・ソング・ライターのアルバムを聴いているような錯覚にとらわれることもあって、こういうジャンルの越え方をする音楽もあるのか、とちょっと驚く作品だった。


 考えてみれば、2Pacをギャングスター・ラッパーだと思ったことなどこれまでなかった。警官批判の曲が多い1作目の「2pacalypse Now」にしても、"Words of Wisdom"や"If My Homie Calls" "Brenda's Got a Baby"といった、真情を素直に吐露した曲が心に残り、ふぉく真当な表現nアルバムとして接していた。ただ、ラップの力量は充分とはいえず、ハードな曲調を強く押し出した2作目では特に、アルバム全体が有機的に結びつかないまま終わってしまっていた。
 いや、2Pac自身もラップが弱いことを自覚していたのだろう。イフェクトを掛けた何種類かの声を用意し、表情に変化をつけようとしていた。が、その変形された声からは“世の中がもう少し違っていたらここにはいなかったかもしれない自分”に対する執着、羨望、恨めしささえも感じ取れるのだった。
 そして、この3作目はリリースされる。
 冒頭に、彼が銃撃されたことを伝えるニュースが収録されているのにまず驚くが、このアルバムに聴ける彼の声はほぼひとつ、地声によるラップ、それだけだ。他者(警官や検察官)に対する憎悪も出てはくるけど、全体を貫いているのは、いま、ここにいるしかなかった自分を自らの責任において受け入れ、愛し続けようとする、そんな決意である。
 サウンド的には(5)"Temptaions"でザップ、(6)"Young Niggaz"でキャミオ、(7)"Heavy In The Game"でSOSバンド、(11)"Can U Get Away"でメイズの捻りなど、これまで同様、軽い替え歌ふうのものも多いが、そこに自分の個性を見出したのは正解だろう。2Pacの場合、力の抜け具合が自然で、ダサくならず、ゲストのヴォーカル陣との絡みも生き生きと聞こえる。G-ファンク調のキーボードも効いていて、アルバムは統一感をもってゆったりと流れるように進んでいく。制作陣はトニー・ピザーロ、イージー・モー・ビー、ソウルショックなど何組も参加しているが、全体の流れを乱す曲はない。注目のモー・ビーは(2)"If I Die 2Nite" (5)の2曲。サグ・ライフへの提供曲より彼らしい構成でなかなか良いが、ぼくは(3)"Me Against The World" (4)"So Many Tears" (9)"Dear Mama" (12)"Old School"あたりが特に好きだ。なかでも、恐らく多くの人がそうだと思うが、ファースト・シングルとなった"Dear Mama"、これには泣けた。
 “ラップは現実を伝えるもの”だと、ラッパーたち自身も含め、そう主張する人がいる。しかし、もし表現するよりも現実描写を優先して考えるとしたら、使う言葉を制限される韻を踏むなんてこと、まどろっこしくてやっていられるはずがない。現在を見据えながら、いかに個的な表現に収斂させるか、それが最も肝腎なことだろう。
 そして、2Pacはいま、彼にしか作り得ない表現を手に入れた。
(MUSIC MAGAZINE 1995 Apr.)


March 14, 1995 Released


Special Update !!




THUG LIFE: VOLUME I
(Out da Gutta/Interscope Records 1994/92360-2)

 Mopreme、The Rated R、Macadoshis、Syke。2Pacが彼らと手を組み、その名の通りに、ギャングの日常をリアルに語ったプロジェクト「THUG LIFE」。彼らの(今のところ!)唯一のアルバムが本作である。この作品は、2Pacのソロ名義ではないものの、随所で野太いPac節を聞くことができる。また、2Pacの音楽的成長を語る上で、外せない1枚でもある。
 1993年リリースの2Pacの2nd「Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z...」と1995年リリースの3rd「Me Against The World」。ソロ名義作品における2Pacの音楽性は、この2枚を境に大きな変化を遂げるのだが、その中間の1994年にリリースされた本作は、1つの重要なターニングポイントになっていると言えるだろう。
 アルバム全体を通じてまず感じるのは、ナターシャ・ウォーカー(Y.N.V.)の甘美なハミングに導かれてスタートする"Bury Me a G"をはじめ、随所に女性ヴォーカルをフィーチャーするなど、それまで見せることのなかったR&B的アプローチを積極的に取り入れていることだ。翌年「Me Against The World」で開花させるR&BとHIP-HOPの融合の原点が顔を覗かせている。
 また、2Pac不参加曲ながらも「Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z...」的音楽性を感じさせる"Don't Get It Twisted"や、当時の王道(?)PARLIAMENTネタモロ使いのファンクチューン"Shit Don't Stop"など、過渡期ならではのバラエティー豊かなラインナップになっているのも興味深い。初期の2Pac作品は、どちらかというと一本調子な曲が多かっただけに、その後の作品において、バラエティー豊かな作品を作る礎にもなっている。そしてそれは、奥深いリリックやギャングスタなイメージとともに、2Pacを特別な存在に押し上げる要因の1つにもなっている。
 他にも、サントラ「Above The Rim」にも収録された"Pour Out a Little Liquor"、Warren G & Nate Doggプロデュース(Nateは歌でも参加!)で「GREATEST HITS」にも収録された"How Long Will They Mourn Me ?"、何かに追い詰められるような緊迫感で迫る"Under Pressure"など、捨て曲なしの全10曲である。
 優しく包み込むような曲調が胸にしみるラストチューン"Str8 Ballin'"まで聞き終えたとき、「THUG LIFE」的な世界を描いたアルバムであるにも拘らずに、私はいつも、2Pacの優しさに触れたような気分になるのだが、なぜだろうか。言葉では言い表せない何かがあるのかもしれない。
 THUG LIFE「VOLUME 1」。それは、数ある2Pac作品群の中で、最も曲数が少なく収録時間の短い作品であるにも拘らず、とても濃密で充実した傑作である。
 なお、THUG LIFEには、2Pac生前に録られた未発表音源が存在しており、幾度かリリースが噂されたが、実現には至っていない。間違いなく傑作であろう、THUG LIFEの新作がリリースされることを、熱望して止まない。
(1PAC a.k.a. Masahiko 2001)


September 26, 1994 Released


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