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2Pac/ Loyal To The Game
(Amaru/Interscope Records 2004/B0003861-02)

 「Loyal To The Game」は、2パックのインタースコープ在籍時代(91〜94年)に録音/ストックされていた未発表の12曲+オリジナル・アルバム未収録の既発曲"Loyal To The Game"=都合13曲をエミネムがリ・プロデュースし、さらに4曲のボーナス・リミックスを加えた合計17曲のアルバムである。ただ、エミネムのプロデュース曲に関してもア・カペラ以外はまったく原曲の素材を用いていないそうなので、実質的には全17曲全てがリミックス曲ということになる。これは“現代的なアーティストの参与によってパックを現代的な存在たらしめる”という母アフェニ・シャクールの意向を推進したものだ。
 繰り返しになるが、本編13曲のプロデュースはエミネムが担当。ルイス・レストがキーボードで、スティーブ・キングがミキシングでサポートするという恒例のエミネム体制で作り出されているだけあって、まるでパックがデトロイトの54サウンド・スタジオに迷い込んできたかのような感触すらあるし、エミネム側も「Resurrection」以上に腹を括ってエミネムらしいビートをぶつけてきたように思う。 ただ、パックの作品が丸ごとひとりのプロデューサーに託される例というのは初めてなだけに、恐らくはエミネムも注意を払ったに違いなく、ビートのタイプや後付けのゲスト、ネタ選びなども含めてヴァラエティは非常に豊かだ。
 まず、幕開けを飾る(1)"Soldier Like Me"は2パックのセルフ・プロデュース曲だったもの。エミネムお得意のフックが追加されているものの、ライムは全て主役のパックに委ねられている。サグを標榜する前の“魂の戦士=パック”らしい比較的タイトなラップに引き込まれる。
 続く(2)"The Uppercut"は2パックと盟友ランディ・ストレッチ・ウォーカーが共同プロデュースした曲が元で、イディとヤング・ノーブルのラップは後から足されたものだ。ストレッチはライヴ・スクワッドのラッパー/プロデューサーで、"Holler If Ya Hear Me"(93年)や"Pain"(94年)など多くの名曲を手掛け、パックの上昇期を彩った重要人物だ。そのストレッチが単独で原曲を手掛けたのが、(9)"Who Do You Love?"。こちらは93年の『The Source』誌面に歌詞が掲載されたことがあった。
 また原曲がライヴ・スクワッド製のものも2曲あり、まず挙げられるのが1stカットの(7)"Thugs Get Lonely Too"。ここではエミネムが"In Da Club"さながらのドレー・マナーなビートを提供し、ネイト・ドッグが違和感なくフックを差し込んでいる。もう1曲はアコーディオン風の人懐っこいループがいかにもエミネムらしい(12)"Hennessey"で、オービー・トライスをフィーチャーしているが、共作者にビッグ・サイクとモプリームの名があるので、元はサグ・ライフ時代の曲だろう。
 戻って(3)"Out On Bail"は速めのフロウとぶっきらぼうなフックがイキイキと漲った好曲。原曲プロデュースはパトリック・ハーヴィなる人物で、パック史的には馴染みの薄い名前だ。
 さらに、エミネムとは因縁浅からぬエルトン・ジョンをサンプリングした(4)"Ghetto Gospel"の原曲を手掛けたのは、デジタル・アンダーグラウンド一派のディオン・ビッグD・エヴァンス。あまり知られていない名前だが、"Brenda's Got A Baby"(91年)や人気の死後リリース曲"Changes"などを手掛けてきた初期パックを語るうえでは欠かせない存在である。ディオンのオリジナル・プロデュース曲は他に4曲あり、エミネムが再びマイクを握る(5)"Black Cotton"、ジェイダキス客演の(8)"N.I.G.G.A."、ストレッチが助力していると思しきラフな速射チューン(10)"Crooked Nigga Too"、かの"Stan"を彷彿とさせるダイドのコーラス引用でエミネムならではの磁場に引き込む(11)"Don't You Trust Me"・・・とどれもパックの語り自体が荒々しくも劇的だ。ラップの録音時期が最も古いのはこの辺の曲だろう。
 パックの声をツギハギして“G-Unit is in the Motherfuckin' House”と言わせている通り、G・ユニットをフィーチャーした(6)"Loyal To The Game"は唯一既発曲だったもの。元はサントラ「Above The Rim」(94年)のカセット版などでしか世に出ていないレア・トラックで、パックとトレッチ、それにプロデューサーでもあるリドラーの共演曲だ。キャミオの"Sparkle"をループした原曲の美しさがエミネム版にないのは良いとして、荒技が面白いミックス・テープではないのだから“何かを言わせる”ようなコラージュはいかがなものか、と思ったりした。
 残る(13)"Thug 4 Life"はお馴染みジョニーJが原曲を手掛けたもので、恐らくサグ・ライフ時代の曲か。
 さてエミネム×パックのガチンコ13本勝負が終わった後に続くのがボーナス・トラック扱いの4曲。ボーナス扱いとはいえ、作り方は本編同様にパックのア・カペラ供与を受けて各々がオリジナル・トラックを作り上げた形になる。最初の(14)"Po Nigga Blues - Scott Storch Remix"はスコット・ストーチがスムーズ感を充溢させた好トラックで、オリジナル・プロデューサーは超名曲"Keep Ya Head Up"で記憶されるDJダリル。共作者にイディとカストロの名があるので、これはドラマサイダルが登場した3rd「Me Against The World」制作時期の録音か。サグ・ライフ"Bury Me a G"ではネタの声として登場、2002年に"Better Dayz"で共演も果たしたロン・アイズリーの起用も理解度が高い感じだ。
 レッド・スパイダによる(15)"Hennessey - Red Spyda Remix"もファンキーなノリがいかにもパックがやりそうな仕上がりで、スリーピー・ブラウンのヴォーカルもハマっている。(16)"Crooked Nigga Too - Raphael Saadiq Remix"も心地よいクラップとラファエルの絶品な歌唱が流し込まれる超スムーズな西ノリの名ヴァージョンだ。最後の(17)"Loyal To The Game - DJ Quik Remix"には盟友ビッグ・サイクが駆けつけ、クイックも含む3人がシリアスなトラック上でマイクをまわす。
 以上4トラックの共通項は、スムーズ、メロウ、レイドバック感といったウェッサイ的な部分になる。意図的に本編から省かれたそういう要素を結びに持ってくる辺り、従来のパック感を愛するファンにも目配せした格好だ。

 エミネムの仕事ぶりに不満はないが、その殆どがきちんとした楽曲として存在するのであれば、手を加えていないオリジナル・テイクを聴いてみたい。それがファンとしての心情である。こういう死後音源の習わしとして、最終的には遺された形そのままの音源が出てくるはずだが、それもいつまで待たねばならないのか、見当もつかない。
 この先もパックの新作/新曲に触れるたびに、その仕上がりには満足は得つつもその真の姿を聴いてみたくなる・・・そんな引き裂かれた気持ちを抱かされ続けるのであろう。まったく罪な存在だ。
(bmr / Black Music Review)


彼の最愛なる母親があのエミネムに全面プロデュースを依頼し実現した新作。前アルバム「Resurrection」に収録の名曲"Runnin'"のリメイクで二人の相性の良さは実証済み。今回はまさにエミネム色全開、あの独特のズブズブした重厚感と哀愁さがこれでもか、という位に感じられるが、中でも注目は、エルトン・ジョンもサンプった(4)"Ghetto Gospel"や客演王ネイト・ドッグを迎えた(7)"Thugs Get Lonely Too"。エミネム以外でもスコット・ストーチややラファエル・サディークらもプロデュースで参加しているが、残念だったのはDJクイックが手掛けた(6)"Loyal To The Game"のリミックス(17)。期待していたの彼の十八番、軽快且つ疾走感は無く、本来の良さが全く出ていないのが残念・・・。でもクイック色を出したら、このアルバムでは浮いちゃうから仕方ないか・・・。ある意味DJクイックだからこそ成せた全く違うテイストだろうか。 -- ADLIB

MUSIC MAGAZINE -- エミネムがトラックの差し替えを担った未発表曲集。ラップはもちろんトラック自体も悪くないが、残念ながら相性が悪い。これがアカペラを聴いたエミネムの解釈で精魂も込めたのだろうが、音楽的に通い合えなかった。


 あまりのリリースの多さに、2パックがまだ生きてるんじゃないかという噂も流れたが、今作「Loyal To The Game」は生前2パックが残したライムに、エミネムを始めとする現在のプロデューサーたちがビートを提供するという新作だ。2パックの母アフェニ・シャクールがエミネムにエグゼクティヴ・プロデュースを依頼したのだが、今作ではエミネムのプロデューサーとしての腕に驚かされるばかりだった。
 エミネムのフックが2パックの声と自然に融合する(1)"Soldier Like Me"は圧巻。エルトン・ジョンをサンプリングした(4)"Ghetto Gospel"では、不思議とエルトン・ジョンの声がゲットー・リリックと溶け込み、2パックの“世界平和を見つける前に、ストリートでの平和を実現させろ”という言葉が轟く。エミネムがダイドを再びフィーチャーさせた(11)"Don't You Trust Me"では、彼女の泣きのコーラスと2パックのヘヴイなリリックが相まってドラマティックなアンセムとなっている。スコット・ストーチが手掛けた(14)"Po Nigga Blues"では、“俺はクラックを売るしかないから売ってたんだ”という2パックの言葉が印象的。G・ユニット、ネイト・ドッグ、ジェイダキス、オービー・トライスをフィーチャーした楽曲では、本当に彼らが2パックと同じ部屋にいたんじゃないかという錯覚に駆られるほどダイナミックだ。DJクイックが手掛けたリミックス曲の(17)"Loyal To The Game"のイルなビートも必聴。
 このアルバムを聴いてて、改めて2パックの人生に裏付けられたリリックの説得力、そして彼の声の魅力に驚かされたと同時に、現在のプロデューサーたちとの相性の良さに脱帽するしかなかった。今作は2パックの霊によって導かれたに違いない。やはり2パックは不滅なのだ。
(BLAST)

December 14, 2004 Released


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