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2パックの「Better Dayz」を聴いて驚いた。それまでの未発表曲集は、生前の2パックと縁があった人を集めて、万人の2パック観を損なわないように慎重に組み立てられた作品だったのだが・・・そういう意味で「Better Dayz」はこれまでに登場したどの未発表曲集とも違う。まずトラックがイマっぽい。言い方を変えれば、もし彼が生きていたなら2001年に「Until The End Of Time」のようなビートの作品は出さなかっただろう、ということだ。例えば、ビギーがマニー・フレッシュと死後共演した"Hope You Niggaz Sleep"には賛否両論あったが、もしビギーが生きていたら間違いなくマニーと一緒にやっていたんじゃないだろうか?「Better Dayz」もまたそういう作品なのだと思う。 まずはバックグラウンドから。原曲のレコーディング時期は基本的に『マキャヴェリ・ピリオド(=デス・ロウ在籍時)』とのことだが、「Me Against The World」時代の薫りが漂うものもあるので、大雑把に94〜96年頃の録音だと見ていいだろう。エグゼクティヴ・プロデューサーは前作同様、母親のアフェニ・シャクールとザ・ロウ代表のシュグ・ナイトだが、音楽面におけるスーパーヴァイザーはアフェニ側であるアウトロウズのE.D.I.とカストロのみ(前作「Until The End Of Time」の音楽監督を務めたビッグ・ハッチことコールド187umがザ・ロウを離れたため、シュグ側が適任者を出せなかったのか?)。ということで、今回は前作のようにザ・ロウ所属アーティストのプレゼンテーションの場としては機能していない。 では、内容の方を見ていこう。原曲のほとんどはジョニー・Jのプロデュースによるものだが、99年のコンピ「Chronic 2000」にて既発の"Late Night"はDJ・クイック、未発表企画アルバム「One Nation」からの"Military Minds"はダリル・ハーパーが手がけている。また"My Block - Nitty Remix"の原曲はイージー・モー・ビーのプロデュースで、95年の「The Show」のサントラに収められていたもの。また、"Street Fame - Briss Remix"と"This Life I Lead"はダズ・ディリンジャーが関与していたと思われる曲だ。さらに"Fame"はハート・エム・バッドことタイロン・ライスがプロデュースしているようで、恐らくマキャヴェリ「The 7 Day Theory」のアウトテイク(?)、つまりは最晩年の曲だろう。ここに挙げた面々は当然のことながら、パック史を彩った重要なメンツばかりだ。 で、トラックのアップデイト作業を行った面々は、先述したように故人との縁を殊更に重視しないメンツで固められているのが印象的だ。具体的にはセヴン・オーレリアス、ジャジー・フェイ、フランク・ニッティ、ブリス、トロイ・ジョンソンらで、もちろんジョニー・JとアウトロウズのE.D.I.のふたりも脇を固めてはいる。中でも鮮烈なのは、ジャジー・フェイによる3曲("There U Go"には歌のみで参加)だろう。土臭いファスト・ファンクにTIのラップを絡めた"Changed Man - Jazze Pha Remix"、ソウルフルな自身の歌とアタッキーなシンコペ・ビートで攻める"Fair Xchange - Jazze Pha Remix"、ミニマルなサザン系の"U Can Call - Jazze Pha Remix"・・・とどれも素晴らしい出来で、従来のファンも満足させつつ、確実にイマっぽい仕上がりになっている。フェイがここまでガッチリしたラップと組むことも珍しく、それゆえこの合体は新鮮&安定感十分。次回以降もお願いしたいひとりだ。さらに、トリック・ダディ(もちろんパックのフォロワーだ)を迎えた"Still Ballin' - Nitty Remix"など3曲を手がけているフランク・ニッティもそれに準ずる男臭いベストマッチ。モロに今のR&B調ビートに乗ってマイアとパックが溌剌と絡む"Fair Xchange - Mya Remix"を手がけたトロイ・ジョンソンや、アンソニー・ハミルトンの滋味深い歌唱を携えたシングル曲"Thugz Mansion - 7 Remix"におけるセヴンの仕事ぶりも手堅い。その別ヴァージョンとなる"Thugz Mansion - Nas Acoustic"には本作の目玉であろうナズが登場し、柔らかいアコースティック・ギターでパックの語り口を優しく包み込む。タイリース、ロン・アイズリーらを起用したメロウ曲も悪いはずはない。一方でバッドボーイ・キラーを気取るハードな曲も多いのだが・・・どっちも最高だ。 |
![]() (bmr / Black Music Review) |
2パックがラスヴェガスで凶弾に倒れ、その後、病院で息を引き取ってから早6年。しかし、その後やはり銃撃事件で命を落としたノトーリアスBIGことビギー・スモールズと較べると、2パックの死はさほど昔のようにも感じない。それはどうしてかというと、その後、遺作や未発表の映画や音源が数限りなく、それも正規盤としてリリースされ続けているからだ。実際、2パックの死が報じられたときから偽装死だったのではないかとは囁かれてきたし、今また新音源が出たとなるとそうした噂も信じたくもなってくる。いずれにしても、生前の2パックのワーカホリックぶりは異常なもので、しかも、さまざまな問題が表面化し始めていたデス・ロウ・レーベルとの契約を破棄してその先のことも睨んでいたそうだから、相当に音源をためていたことは間違いない。しかし、そうした音源がどこまで形としてできていたのかはよくわからない。簡単なリズムとラップのみの音源が多いのだろうか。特に未発表音源系では傑作である"Changes"以来、生前の2パックのサウンドのイメージへのこだわりも薄くなっているので、今作などは相当に今現在のサウンドを反映したものにもなっている。生前の作品やマキャヴェリ名義の遺作のテンションには欠けるが、相当にヴァリエーションがあって、フェイヴァリットを楽しく探せる作品集になっている。 | -- rockin' on |
ADLIB -- | もう彼が凶弾に倒れてから早くも6年の歳月が流れた。没後も多量の未発表曲がアルバム化されてきたが、ここまでくると“またかよ”と思う人も正直多いだろう。だが、この2枚組はジャ・ルールやリュダクリスなどを手掛けたプロデューサー達が“もし2パックが現代に生きていれば”的なトラックを提供、作品としてしっかり聴ける内容になっている。ナズやロナルド・アイズレー、タイリース、そして仲間のアウトロウズがコラボレートした哀愁系のメロウでサグなトラックが2パックの“良き日”を思い起こさせ、再び涙を誘う。彼の威厳は残しつつ、制作陣や客演アーティストが新鮮な息吹を吹き込むという、過去と現在が上手く交差した未発表アルバムだ。個人的には“泣き”のサグ・ライフ感がたまらなく良い。プラス、彼の歌心が感じられるのも美味しい! |
96年の惨劇から早いもので6年。なぜ、このタイミングなのかは不明だが、またまた2パックの未発表音源がリリースされた。まだまだ80曲以上も未発表録音が存在するらしく、今後もこうしたリリースはまだまだ続くのでしょう。本作以前にリリースされた同様の未発表作品「Until The End Of Time」に続く二部構成だという本作は2枚組の全26曲収録。レコーディング期も死の直前に作られたものばかりとかで、その辺りは1-(5)"Fuck Em All"にバッド・ボーイやビギーに対する攻撃的なラインがあることからも間違いなさそう。それにしても、この曲は単純にかっこいいな。2パックの敵意剥き出しのエネルギーがスピーカー越しに伝わってくる。1-(2)"Still Ballin'"もそうなんだけど、踏みどころで言葉を伸ばして強調する独特のリズミカルなフロウ。この味のあるフロウこそ、2パックでしょ。1-(5)の方は、これに怒りが加わってるから、途中で舌が巻いちゃったりして、湧き出る怒りの感情をそのまま口に出し続けたような感じで。舎弟のアウトロウズもしっかりサポートし、トラックもロック調なギターがアグレッシヴながら、あくまでも補助役として支えることで曲全体の雰囲気作りに効果的に響く。得意の母親ネタも1-(7)"Mama's Just A Little Girl"に。これまた哀愁シットな感じです。1-(11)"Late Night"はDJクイック仕事。浮遊感あるドナルド・バードのネタは、やはりこういうネタ物と相性がいいな、と思わせるクイックの手腕が冴える曲。1-(13)"Thugz Mansion - Nas Acoustic"はNasのアルバムにも収録されている曲で、アコギ一発のシンプルな作りが2パックとNasの背中の哀愁を引き出すことに成功し、フックの男性ヴォーカルと共に“泣き”を誘う一曲に。 対するディスク2の方は"My Block"というタイトルからも想像に難くない泣き系。2パックの静かな語り口が完全にそれモードで、トラックとコーラスもうまくサポート。2-(2)は"Thugz Mansion"のリミックス。こちらにはNasは不参加ですが、アンソニー・ハミルトンの熱を帯びた歌が込み上げる、ディスク1とは違った“泣き”を誘います。続く2-(3)"Never Call U Bitch Again"、2-(4)"Better Dayz"と涙は止まりません。前者ではタイリースをゲストに迎え、後者はアイズレーのネタを使用し、前半4曲は泣きの環境作りに適した流れ。2-(6)"Military Minds"ではココ・ヴラヴァスとバックショットなんて意外な人選も。ディスク1に比べ、ディスク2の方が少し雑な曲の並びのような印象もあるけど、2パックファンは買いでしょう。トラックは後づけされたものが多いんだろうけど、それっぽい曲にはそれっぽい曲が用意された印象で、生前のイメージと大きな違和感を覚える曲は少ない。それだけ2パックというラッパーが多くの人に理解され、認められていたということの裏付けにもなるでしょう。次は是非、一枚組でリリースして下さい。 |
(blast) |
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November 26, 2002 Released |
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