HIS LIFE, DEATH & THE DEMONS
That Haunt The Hip-Hop Generation

Part: II


>>SHORTY WANNA BE A THUG
 ブラックミュージシャンは、たとえ機が熟したアーティストになったとしても、白人と黒人のレコードレーベルに影響されやすい。多くは、抜け目ない洗練された文化的表現について、である。
 多くのギャングスタラッパーは、クリエイトなジャンルのルールに助けられている。そして、彼等はゲットーの生活を(語ることがいくらになるか)見積り、利用する。
 ― Professor Michael Eric Dyson

 そんな中でもトゥパックは、ゲットーの痛みの本質的なスポークスマンだった。
 かれはアウトローとしての名声で、100万ドル近くを稼いだ。しかし、彼の詩の価値は、戯言や出鱈目ではできない苦しみにいつももがき苦しんでいるところにある。
 彼は獄中でインタビュアーにこう語った。
 「俺はサグ・ライフを生きてきた。だがそれは、間抜けなことだった」
 しかしトゥパックはその前向きな気持ちで、彼の狂暴性と心変わりの早さを変えることはできなかった。服役期間中、彼はさらに冷酷なサグになっていった。
 彼はバッド・ボーイ・エンターテインメント(ショーン・パフィ・コムズとノトーリアスBIG)を1994年のタイムズスクエアの銃撃の疑いで叫弾した。彼は素直な感情で激怒することや、監獄から出たばかりの行動がファンの評価になっていると主張した。
 それは、われわれが彼に感じた不安な愛着だった。彼は時折、恐怖と夢を感じさせ、その派手なやり方は、時に軽蔑されることもあった。
 彼の率直さすべては、ジェットコースターのような人生と、ゲットーがいかに彼に試練を与えたかということからきており、トゥパックは単にその限りない才能に恥じない生き方をし損ねたに過ぎない。しかし彼のレコードは、都会の退廃を荒々しく、鮮明な憐れみで表現しており、女性をあえてビッチと呼び、黒人の男性を励ましてきた。
 何がトゥパックを救える?より多くの金か?カウンセリングか?
 シュグ・ナイトは、父の役割でドラマの舵をとることができたか?
 それとも、(シュグ・ナイトは)火の中に(彼を)投げ入れたのか?
 「David Geffen はKurt Cobainを止められない。Suge KnightもTupacを救えない」
 シモンズは言う。
 「これは個人の問題だ。われわれになにが出来る?私は自分の仲間に時々語りかけてみるが、彼等にとっては他人事にすぎない。俺達ができるのは、トゥパックのために祈ることだけだ」


>>POINT THE FINGA
 もし、黒人文化が黒人のニーズのために充分供給されないとしたら、
 それは人種差別主義者の金持ちの罠であり、
 われわれは、黒人文化になにを追い求めるべきか
 ― Andre C. Willis

 シモンズの、かつて自らリリースしたレコードを超えるものをつくりだそうという試みにも関わらず、メジャーなレーベルが求めるものは、自滅的で、赤裸々で、彼等の目論みとはかけ離れていた。
 例えば、デス・ロウ・レコードの親会社、インタースコープ・レコードがシェアを譲渡したにもかかわらず、タイム・ワーナーは、デス・ロウの「銃やセックス」を専門に扱って利益を得ている。トゥパックの『All Eyes On Me』を供給せず、ジャケット上にロゴを使うことを許可していないにもかかわらず、インタースコープからの謝礼およそ5万ドルが集められているのだ。
 無干渉の協定を許可した有名なレーベルタイム・ワーナーのように、BMGやEMIも緩衝ゾーンにあり、トゥパックのようなラッパーからレコード売り上げの利益を受け取っているが、彼等の激しい生活ぶりが普及することに金を投資するのは抑えている。
 執行部の何人かは、インタースコープのような筋金入りのラップ分配者との取り引きは抑えて、アーティストの個人的な生活は規制できない雇い主と競い合っている。
 「これらのすべては、デス・ロウやインタースコープに限ったことではない」経営者のトップはこう答えた。
 「トゥパックは、才能ある俳優であり、ミュージシャンであった。しかし、彼は自身をいつもトラブルの中においていた。誰が危険な生活を求めるか?トゥパックは撃たれたがっていたと思うか?」
 何人かのラップの実力者は、責任の重い公のアーティストのプライベートを、何とかして公開しようとする会社のやり方はアンフェアだと言う。
 「俺たちはカウンセラーではない」最も有名なラップ音楽業界に働いているチーフはいう。
 「俺たちは、彼等(ラッパー)のそばに四六時中いるわけでない。彼等の生活の場はレコーディングスタジオではないんだ」
 しかし、金を貪るレーベルと同様に、現実とはかけはなれた模倣の生活をつくりあげているアーティストも責められるべきではある。



>>AMBITIONZ AZ A RIDAH
 スリック・リックやレンチ・モブの投獄、スヌープの殺人容疑裁判、ソウル・トレイン・アワードでの対立に見られるように、ヒップホップはサグとして君臨し続けてきた。
 ハードコアで“リアル”なラップは、存続可能、実現可能な生活の記述であるという、アメリカの主流ではめったに見られないメリットがあるにもかかわらず、獰猛な否定、暴力的な反感がヒップホップの中には込められており、減ってきたとはいえ、常に非難されいる。音楽は明らかにアメリカ中の若者の心を形どる力になってきているのだ。
 黒人としての誇りに満ちていた80年代末期とは違い、今日では、(彼らは)高揚させるものを受け入れ、暴力のニュースが流れるたびに憂鬱になる。彼らの財産であるアフリカのネックレスと、「ストップ・ザ・バイオレンス」キャンペーンの力が子供たちを取り巻いていた時代、その力は公民権を奪うためのハードコアな活動になった。
 現在、ラップ音楽を買うファンと、ラップを作り上げるラッパーの間には、宿命論的なイメージによって支持されている自滅的な潜在意識がある。ティーンエイジャーの多くは、ラップで張り合い、自分自身がサグであると宣言し、“money, hungry, bitches”を(取るに足らぬものとして)相手にしない。
 しかし、白人がアメリカのドラッグ使用者の80%を占め、94年の暴力事件の54%に関与しているにも関わらず、CIAは最近の報告書を通して、ストリートの人間に対して厳重に警戒すると表明し、非難の矛先を黒人に向けている。
 トゥパックを撃ったキャデラックに乗っていた黒人男性は、引き金を引いた犯人だと疑いをかけられた。子供を養えないブラザーたちは、自分たちの行動に責任をもてない臆病者と同じ種類の人間だと決めつけられる。どんなに白人が彼らよりも犯罪率が高くても。
 われわれが心配することは、トゥパックようなBボーイの大量殺人がおこることだ。彼の死は、失業率の高さや、黒人の子供の68%が未婚で産まれているという問題など、蔓延しているブラックコミュニティをとりまくどこへいっても逃れられない絶望感を浮き彫りにした。そして最も重要なのは、黒人同士の暴力事件は、トゥパック殺害の根源でもあり、アフリカ系アメリカ人が、この絶え間なく続く表面上の自滅的なサイクルを変えない限り、なくならない。
 我々はこのようなアメリカを衰退させる戦いを、白人優位のルールのもとでは、すぐに変えることはできない。しかし、少なくとも我々が(白人、黒人の別なく)団結すれば、もっとクリアで、安全になっていくだろう。
 トゥパックは殉教者としての名誉を得たが、この国ではその一方で、何千人もの小さな黒人の子供が道端で死んでいく。94年だけでも、ロサンジェルスで779件ものギャングがらみの殺人事件が起こっている。いくつかは、ニュースになるものの、その多くは地方紙に小さく載るだけだ。
 そして、その殆どがラテン系アメリカ人と黒人によるもので、殆どが銃によるものである。(それらと)トゥパック殺害が異なるのは、彼が闘争に巻き込まれ、その犯人が100万ものファンや評論家のジャッジによって、関心を持たれている点だ。
 毎年ブラザーやシスターたちが死んでいくが、なぜか今ごろになって驚くのである。



>>WORDS OF WISDOM
 トゥパックが死んだ日の午後、私の電話が鳴り続けた。
 沈んで混沌とした空気、怒り、そして、何故若者が全盛期で殺されなければならないのかという声もあった。
 私は答えなかった。しかし、彼らと話している間、私は彼らのコメントをなぐり書きした。彼らは私の個人的な友人で、世の中の(トゥパックの死に対する)反応を映し出す鏡だ。彼らは、スター・ラッパーや関係者ではなく、あなた方や私と同じ一般人である。
 ここに、トゥパックの死に関するいくつかのコメントを紹介しよう。
 「これは、彼だけ(に起こったこと)ではない。100万人の黒人にも同じことが起こりえるのだ」
 「会ったこともなく、(本当に)死んだのかさえわからない相手にこんな気持ちになるのは初めてだ。私は面喰らっている。まだ信じられない。胃が落ちるようだよ。我々は、自分の命を(自分で)守らなければならない」
 「彼は確かにカリスマ性があった。才能があった。彼はリーダーであり続けた。彼のようにファンに支持され、メッセージを伝えることができる人間はもういないだろう」
 「(彼の)詩には強さがあった。ほかのコミュニティ(人種)を見て欲しい。ユダヤ人、メキシコ人、イタリア人、アジア人。彼らは互いに影響し合っているのに、なぜ互いにサポートできないのか。これがすべて(問題、事件)の根源だ」
 「たとえ彼の言っていることを常に感じることができない人間がいても、彼はヒップホップ界において、非常に重要な人物だ」
 「みんなサグたちは死ぬか刑務所行きだと思っている。俺は、なぜ皆彼を殉教者にしようとしないのかわからない」
 「トゥパックについて考えることは50もある」



>>LAST WORDS
 1811年の出エジプト記(旧訳聖書の一部)
 “Now I know that the Lord is greater than all other Gods …”
 (キリストは他のすべての神々よりも偉大である…)
 トゥパックの背中に刻まれた言葉である。

 マリン・シティでドラッグを売りさばいていたトゥパックの言葉の中でポイントになるのは、彼はドラッグをカリフォルニアのブラック集団を後押ししていると噂されるCIAに売っていたということである。
 もしかしたら、彼は自分自身の終焉に向かって提供していただけでなく、その行動は知らず知らずに他の黒人たちを殺す政府の手助けしていたのかもしれない。
 我々の言葉もしくは我々が売るドラッグが、結局、解放運動へ向かって前進することを妨げていることは、自分たちの行動がどんなものかをいかに(自分たちが)知らなかということの証明であるように思える。
 人の立場に立って1日を費やすことなどないのに、他人の生活にジャッジを下すことはアンフェアなことである。男女問わず、黒人はトゥパック・シャクールを愛したが、それでも正しい価値観で彼の死の立場に立つのは難しい。
 私の友人のこんな言葉がある。
 「(トゥパックの詩は)彼が半分書いて、残りは神が書いたのだ」
 トゥパックの死んだ13日金曜日の深夜、私はビールをちびちび飲みながら儀式をはじめていた。カップをひねってそのごみを道端にまき散らし、その夜ゲットーの何千もの人々がそうしたように、道に向かってドリンクをはね散らした。
 しかし、流れ出たわずかな酒は、結局自分を落胆させたに過ぎなかった。トゥパックは静かに亡くなり、あとに残されたものは、まだ飲み終えていない自己嫌悪の混じった40オンスの酒だった。
 ビールの水たまりを見下ろしながら、私はこの若い青年の生き様に常にあった矛盾が答えではないだろうかと思った。
 我々は、思い出の中にトゥパックの意識の「甘い肉」を慈しみ、または彼に起こったトラブルをいつまでも考えるべきだろうか?
 友よ、それは目の前にある写真に照らして、自分自身で決めることだ。

Frank Williams and THE SOURCE Mind Squad


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